草花編
クリスマスローズはキンポウゲ科の宿根草で、本来はクリスマスの頃に白い花を咲かせるニゲル種のみを指しますが、日本では春先に咲くオリエンタリス種などに代表される ヘレボルス属すべての植物を指します。
開花期は12月~4月。花弁のように見えるのは萼片で、花後も2ヶ月以上も花弁の状態を保つため、長く楽しむことができます。多くは常緑ですが、高温多湿の気候は苦手で、夏の休眠期に葉が枯れるものもあります。夏は強い日差しと高温となる場所を避け、秋から冬は日あたりを確保できる落葉樹の下が植栽場所に適しています。そのような場所が確保できない場合は、鉢で管理すると季節にあわせて移動が可能なのでおすすめです♪種をつけたままでも生育にあまり影響はありませんが、 鑑賞性がないと思われたときには花がらを摘み取ります。また、霜が降りるようになる頃に新しい葉が展開するので、古い葉は切り取っておくとよいです。
冬から早春の彩が少ない時期にも草花を楽しむことができるようにと、クリスマスローズを植栽してみてはいかがですか。
樹木編
桜の品種は、自生や改良品種を含め200種以上あり、品種も混ざり易い樹木です。
カワヅザクラを代表として「早咲き」と呼ばれる品種も数多くあります。
早咲きを決める最大の要素は血統です。
交配した親が早咲きの「カンヒザクラ」やソメイヨシノよりやや早い「エドヒガンザクラ」の品種は、早咲きの性質や花の様子、姿をしている事が多いです。
カンヒザクラとオオシマザクラが自然に交配し発見された「カワヅザクラ」や、人間の手で交配品種として生み出されたイギリス生まれの「オカメザクラ」(カンヒザクラとマメザクラ)、富山県で見つかった「コシノヒガンザクラ」(エドヒガンザクラとキンマメザクラ)、
エドヒガンの変種として見つかった「ベニシダレザクラ」などなど。
早咲きと呼ばれる品種群はソメイヨシノより早く咲くと言うのが基本です。
3月上旬に見ごろに入っているものがあれば、その品種は早咲きのサクラか寒咲きのサクラ(冬桜や十月桜など四季咲き系の桜)の可能性があります。
最近でも新品種が見つかる桜。
個性がある個体も見かけますのでお花見シーズンにはじっくり観察してみては如何でしょうか?
※写真は荒子川公園の桜たちです。
果樹編
東谷山フルーツパークでは、「アルプス乙女」という品種のリンゴが植えられているのをご存知ですか?
「アルプス乙女」とは、北アルプスのふもと、長野県松本市の農家のリンゴ園で発見・育成され、1968年(昭和43年)に品種として命名・登録されたリンゴです。
ふじと紅玉の混植園で偶然発見されたというこのリンゴは、直径4センチ、重さ25~50グラムと小ぶりながらも、糖度が15度ほどある甘さと酸味がバランスのとれたさわやかな味わいです。
リンゴは他の品種の花粉が必要で、同じ品種の花粉だけでは実がなりません。
しかし、「アルプス乙女」は1本の木だけでも実をつけます。
花をたくさん咲かせるので、他の品種に花粉を提供する受粉樹としても栽培されています。
「アルプス乙女」は縁日などで見かけるリンゴ飴の材料としても使われています。
また、弁当箱にスッポリ入る大きさから「ランチボックス・アップル」とも呼ばれています。
最近ではスーパーや花屋さんでも見かけることが多いですね。
食べるもよし、飾るもよしの「アルプス乙女」、みなさんも見かけたらぜひ小さい秋を楽しんでみてください。
野菜・穀物編
皆さんがきっと今日も食べた「お米」。
「イネ」という植物の収穫物を「お米」と呼んでいます。
このイネ、夏には風に揺られ、田んぼは緑のじゅうたんとなっています。
稲が青々と育ってきて、しばらくすると花が咲き始めます。
「え?花が咲くの?」と驚くかもしれませんが、ちゃんと花が咲き、受粉することで結実=お米ができるのです。
どんな花かと言うと・・・
この花、なんと咲いているのは天気の良い朝の2時間程度のみ。この後、この緑色の部分の中にお米ができてきます。
という事はこの花の大きさはお米1粒よりも小さいということ。
目立たない花はミツバチなどの虫に花粉を運んでもらう(虫媒花)ではなく、風に運んでもらう(風媒花)なので、天気の良い午前中、そよ風に吹かれ花粉を飛ばし受粉させます。
実はこの前に、イネの穂が顔を出す「出穂(しゅっすい)」があります。
出穂から1週間程度で花は咲き終わります。
出穂前の期間はとても大切で、気温が低かったり、逆に高すぎたり、水が少なかったり風が強すぎたりすると、収穫量に影響が出てしまいます。
お近くに田んぼのある方は、ぜひ気にしてイネの花を探してみてくださいね。
※写真は農業文化園・戸田川緑地のイネたちです。
観葉植物
ゴムノキのような観葉植物は、葉っぱの形や色が美しいものが多いので、大きくなり余分な箇所を切った(剪定した)枝は、挿し木にしてみましょう。
その方法としては、まず、葉っぱを一枚残して枝を斜めにカットします。ゴムノキは白い液が出てきますので、水に浸すか拭き取るなどして液が出てこなくなるくらいまで、水切れをしてシナシナにならない程度においてください。
次に、下になる方に水で浸した水ゴケを巻き、輪ゴムで止めます。この時、うっかりと上下を間違えないように注意してください。
そして水ゴケを巻いた方を下に川砂に挿します。あとは水やりを欠かさず行うことに注意すれば、一ヶ月後くらいに発根します。
また、大きなゴムノキの剪定後について、あまり大量に挿し木ばかりをしても保管できないと思いますので、いくつかは花瓶にさしてテーブルの上などに飾ってみても良いです。花瓶に挿して飾っておくだけでも、根は出てきます。
※写真は東谷山フルーツパーク(世界の熱帯果樹温室)のゴムノキ
コラム
暖かくなってきていろいろな花がきれいに咲く時期になりました。
足元にはタンポポ、道端の縁石のすき間からはスミレがきれいに咲いています。
この「花」ですが、多くの花はきれいに咲いて虫を集め、種子を作って子孫を残す働きをしています。
ですが、私たちが「花」と呼んでいる物の中には、実は「花」ではない部分が入っているものもあります。
例えば、この時期にきれいに咲いている「ハナミズキ」
白く見える部分は「花びら」に見えますが、実はその中心にあるつぶつぶした箇所が本当の花で、白い部分は「総苞(そうほう)」と呼ばれる花を包んでいた葉です。
また、農業文化園・戸田川緑地にあるフラワーセンターの近くで咲いている「ハンカチノキ」
この白いヒラヒラした部分も花ではなく苞で、花は上の方につく赤い部分です。(咲き始めはハエなどが集まって来そうな、少し臭いにおいがします)
他にもタンポポは小さな花がたくさん集まったものです。
身近な花ですが、よく見てみるといろいろな発見がありますよ。
その他
植物にとって根が土から十分に養分と水分を吸収でき、土の空隙(土のすき間)から酸素を吸収できることが大切です。したがって、通気性がよく、与えられた水がさっと排水される性質をもち、それでいて適当に水分や肥料を保ってくれる土がよい土といえます。
土の構造には単粒構造と団粒構造があります。
単粒構造は、細かい均一な土が集まりすき間が少ない土壌の状態をいい、植物の根が張れず根づまりや水や空気の通りが悪い状態になってしまいます。単粒構造は、植物にとって良い土ではありません。
団粒構造は、細かい土が固まりをつくり(団粒)、それがくっついて作られた土壌の状態をいいます。すき間が大きいので植物が根を伸ばしやすく、水分、肥料や空気が通りやすくなります。また適度なすき間は土壌を有機化する微生物やミミズなどが活動しやすくさらに団粒構造が発達します。さらに個々の団粒が水や空気を保持することで保水性、保肥性を促します。植物にはこの団粒構造の土が適しています。